ずる賢いクモ

scroll

むかしむかしある国に、やせ細ったクモとその家族が暮らしていました。

ある日クモはゾウの王様を訪ねていいました。

「私は川の向こうのカバの王様の使いで参りました。
ケーキを作りたいのですが小麦がありません。
カバ王の一番上等な馬と引き換えに、小麦を100袋いただけますか」

ゾウの王様は小麦を100袋渡しましたが、
運ぶ途中にクモはその小麦をすべて自分の家に持って帰ってしまいました。

次の日クモはカバの王様を訪ねていいました。

「私は陸の向こうのゾウの王様の使いで参りました。
スープを作りたいのですが魚がありません。
ゾウ王の一番上等な馬と引き換えに、魚を100匹いただけますか」

カバの王様は魚を100匹渡しましたが、
運ぶ途中にクモはその魚をすべて自分の家に持って帰ってしまいました。

もうクモは食料に困ることはありません。手に入れた小麦と魚を家族と一緒に食べました。
おなかがいっぱいになったクモは、子どもたちと一緒に口から糸をだして長い長い綱を作りました。

クモは数日後、作った綱を手にゾウとカバの王様それぞれのところに出かけて言いました。

「あちらの王様の馬がとても力が強いので、引っ張ってこられません。
この綱を引っ張って手伝っていただけませんか」

ゾウとカバの王様は家来たちに綱を引っ張らせましたが、
いくら引いても馬はやってきませんでした。

それもそのはず、クモの作った綱をお互い引っ張りあっているだけなのですから。

いつまでたっても動かない綱を不思議に思った王様たちは
様子を見に行き、事の顛末を知りました。

王様たちは大怒り。
クモを探しにいきました。

それを知ったクモは、年寄りのカモシカの皮で変装して王様たちを出迎えます。

「クモをお探しなら、よしたほうがいいですよ。
私はクモにこんな年寄りの姿に変えられてしまいました。
まだまだ若くて元気だったのにこのありさまです」

王様たちは恐ろしくなって逃げ出し、クモを探すことは二度とありませんでした。

ずる賢いクモ

寓話をモチーフにした
元永彩子さんデザインのテーブルウェアシリーズ

「piece of old tales」をテーマにした元永彩子さんデザインのテーブルウェア。日本の厳しい基準により販売されなかった業務用食器をリメイクした、PASS THE BATONオリジナルのアイテムです。器に描かれたイラストは世界の8つの寓話のワンシーンを描いたもの。イラストからストーリーを想像してみてください、食卓が楽しくなりますよ!

RELATED ITEM